修復の進捗状況
令和2年10月11日(日曜日)恵庭市から奈良市へ運搬
(公財)元興寺文化財研究所の専門家の方が、刀を梱包し、美術専用車で恵庭市の施設から搬出しました。美術専用車は電源があり、本州へのフェリーの中でも荷室の温湿度を一定に保てます。
梱包の状況
美術専用車
令和2年10月21日(水曜日)奈良市の(公財)元興寺文化財研究所に行ってきました
当館の学芸員が10月中旬に奈良市にある独立行政法人 国立文化財機構 奈良文化財研究所の文化財担当者専門研に参加しました。その合間に同じ奈良市にある(公財)元興寺文化財研究所を訪問し、修復を行う刀の確認と打ち合わせを行ってきました。
刀を保管している棚
修復する刀
令和3年4月現在の進捗状況
刀3振は処理前のX線写真等の撮影を行い、処理前調査の後、前回の保存処理の薬剤等を除去する1次クリーニングを行いました。
この後、木質等の有機質をアクリル樹脂で固めて養生し、脱塩処理作業を行う予定です。
1次クリーニング作業状況
P96号土坑墓出土の横刀(1次クリーニング後)
P101号土坑墓出土の蕨手刀(1次クリーニング後)
P128号土坑墓出土の横刀(1次クリーニング後)
令和3年7月現在の進捗状況
刀3振は「脱塩処理」作業中です。「脱塩処理」とは、地中に埋まっている間に資料内部に取り込まれた塩化物イオンなどの錆の原因になる物質を、アルカリ水溶液の中に入れて溶出させる工程です。出土鉄製品の保存処理を行っていく上で最も重要な工程の一つと言われています。
P96号土坑墓出土の横刀(脱塩処理中)
P101号土坑墓出土の蕨手刀(上)とP128号土坑墓出土の横刀(下)(脱塩処理中)
脱塩処理中の刀が入った容器
令和3年9月現在の進捗状況
本修復事業の完了は令和3年9月を予定しておりましたが、現在刀3振の塩化物イオンの濃度が想定より高いことから、三菱財団の了承を得た上で委託期間を令和4年2月まで延長し、引き続き脱塩処理を続けることと致しました。
塩化物イオンの濃度が高い要因としては、3振ともメタルの残りが良いため塩化物イオンが多く含有されていることが上げられます。また、遺物の崩れを防ぐため前回処理時の樹脂を完全に抜いてないことや、作業中の崩れを防ぐため表面の有機質をアクリル樹脂で覆って養生した状態で脱塩処理を行なっていることから、腐食促進陰イオンが溶出できる表面積が少ないため溶出しづらいことも一因と考えられます。
令和3年11月現在の進捗状況
刀3振の塩化物イオンの濃度が高いことから脱塩処理を続けていましたが、基準値を下回ったため脱塩処理を完了しました。脱塩処理後の工程は以下のとおりです。
樹脂含浸1回目→2次クリーニング→樹脂含浸2・3回目→樹脂塗布1・2回目→接合・復元→補填材で整形→樹脂塗布3回目→補彩
現在は復元作業中です。
樹脂含浸の状況
樹脂塗布作業状況
復元作業状況
令和4年2月28日(月曜日) 修復を終え、刀3振が恵庭に戻って来ました
刀3振は復元・整形、樹脂塗布、仕上げのつや消し剤塗布と復元部の補彩後、写真撮影や経過観察を行いました。その後、(公財)元興寺文化財研究所の専門家により美術専用車により奈良から恵庭市の施設に運ばれました。
4月16日(土曜日)~5月22日(日曜日)にはこの刀3振を含めた令和元年から3年に再保存処理を行った金属製品22点を展示する企画展「金属製品と保存科学の世界」を当館の特別展示室で行います。保存処理の方法などもパネルや写真でわかりやすくご紹介しますので、ぜひ見学にお越しください。
美術専用車
梱包の状況
修復を終えた刀
P96号土坑墓出土の横刀(修復後)
P101号土坑墓出土の蕨手刀(修復後)
P128号土坑墓出土の横刀(修復後)
関連情報
教育委員会教育部 郷土資料館
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ファックス :0123-37-1288
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更新日:2022年03月15日