【ミニ特集】65歳からの転ばない・骨折しない体づくり(広報えにわ2025年7月号掲載)

年齢を重ねるにつれて、誰もが直面する「転倒」や「骨折」のリスク。実は、恵庭市では骨折による入院医療費ががんや脳梗塞を上回っており、高齢者のケガが大きな課題となっています。また、救急搬送の中でも高齢者の転倒による負傷が多数を占めており、「転ばない・骨折しない体づくり」は、今や地域ぐるみで取り組むべきテーマとなっています。こうした背景をふまえた上で、市が市民や医療機関とともに進める介護予防の取り組みを紹介します。健康寿命をのばし、いきいきと暮らし続けるために、今できることから始めてみませんか?
骨折・骨粗しょう症が医療費に大きく影響

2024年度の恵庭市における1人当たりの医療費を疾患別に分析したところ、「骨折」による入院費が3番目に多く、「がん」や「脳梗塞」などの重篤な疾患を上回っていることが分かりました。
これは、骨折や骨粗しょう症が高齢者の生活においていかに深刻な影響を与えているかを示す、重要なデータです。特に、高齢期においては、軽い転倒が大きな骨折につながり、その後の生活の質や介護の必要性に直結するケースが少なくありません。
高齢者の救急搬送、3人に1人がケガ

2024年、恵庭市消防本部による救急搬送のデータによると、総搬送者数2,458人のうち、379人が「一般負傷」、つまり転倒や日常生活中のケガによるものでした。このうち、高齢者の一般負傷による搬送は267人にのぼり、そのうち「転倒」を含むケースは200件を超えています。
これは高齢者が自宅や外出先などで転倒し、骨折や打撲などのけがをして救急搬送されるケースが非常に多いという現状を示しています。
特に高齢者の骨折は、大腿骨骨折や脊椎圧迫骨折など、回復に時間がかかり、寝たきりや要介護状態につながるリスクが高いため、予防がとても重要です。
「転ばない・骨折しない」体づくりの重要性
こうした背景をふまえると、健康な暮らしを続けるためには、日頃から転倒を予防し、骨を丈夫に保つ体づくりが何より大切であることがわかります。
転倒を防ぎ、骨折のリスクを下げるためには、筋力の維持・向上やバランス能力の強化、そして骨密度の低下を防ぐ生活習慣が欠かせません。
市の介護予防事業を紹介します
市では、安心して暮らせる地域づくりの一環として、医療機関や専門職と連携し、介護予防事業を展開。転倒や骨折を防ぎ、高齢期も自立して過ごせる体づくりを目指しています。
いきいき百歳体操サロン×専門職のサポート

市内には、地域住民が自主的に参加する「いきいき百歳体操」のサロン団体が40あり、椅子に座って行う安全な動作で筋力アップを図っています。継続により日常動作が楽になり、転倒予防にも効果があります。
また、北海道リハビリテーション専門職協会(HARP)と連携し、市内の理学療法士などがサロンで講話を実施。認知症予防や介護予防など、生活の質を高める専門的な助言を行っています。
さらに2024年度からは、恵み野病院の協力で健康運動指導者による体操指導を開始。おもりの使い方や正しいフォームを6か月かけて丁寧に指導し、体力測定で筋力やバランスの向上を確認しています。
「人生の最期まで自分らしく」をサポートします!
恵み野病院訪問リハビリ室 作業療法士 佐藤俊介さん
本当に幸せな社会とは、自分らしく年を重ね、病を得ても生きることをまっとうし、自分らしく最期を迎えられる社会だと考えます。その実現には、医療・福祉・地域が連携し、個人の生活を支えるまちづくりが欠かせません。医療費の増加や医療過疎、老々介護など課題も多い中、私たちは予防を重視し、多職種が連携することで、超高齢社会でも安心して暮らし続けられる地域モデルづくりに取り組んでいます。
骨密度測定で「見えないリスク」を可視化

市では、超音波による骨密度測定を定期的に行い、歩行速度や握力、骨折歴も確認して骨粗しょう症のリスクを総合的に判断。必要に応じて医療機関での検査や治療を勧めています。
2024年度は31人が参加し、そのうち16人に医療機関の受診を勧奨。結果として8人が骨粗しょう症の治療に結びつきました。我汝会えにわ病院の協力により、理学療法士との個別相談も実施し、体の状態に応じた助言を行っています。
今年度の開催は、広報紙や市ホームページなどでお知らせします。
調べたことがない人こそ骨密度測定を!
えにわ病院リハビリテーション科 理学療法士 木下幸大さん
骨密度は年齢とともに低下します。最近よく転んでしまう人や転倒によって骨折したことがある人は、骨密度が低下している可能性があります。骨密度を測定すれば、その人に合ったアドバイスをすることができますので、ぜひ測定会に参加してみてください!
将来の自分のために、今できることを
筋力や骨密度は加齢とともに低下しますが、正しい知識と継続的な取り組みで進行を遅らせることが可能です。無理のない運動やバランスの良い食事、必要に応じた受診が重要です。
「まだ元気だから大丈夫」と思っている人こそ、今から始める予防が未来の安心につながります。健康寿命をのばし、いくつになっても自分らしく暮らせる毎日を。ぜひ、市の介護予防事業を活用してください。
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更新日:2025年06月27日