恵庭跨線橋の長寿命化に向けた取り組みについて

更新日:2022年02月03日

1.これまでの経緯

昭和47年度 恵庭跨線橋竣工

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平成20年度 橋梁点検(1巡目)

平成26年度 橋梁点検(1巡目)の点検結果に基づく補修設計

平成27年度 橋梁点検(2巡目)、耐震補強設計

平成28年度 補修・耐震補強工事(床版打替・断面修復、地覆・防護柵取替、高欄取替、伸縮装置取替、橋台断面修復、橋脚耐震補強)

平成29年度 補修・耐震補強工事(床版打替・断面修復、橋面防水、地覆・防護柵取替、高欄取替、伸縮装置取替、上部工ひび割れ補修、沓座拡幅、橋脚耐震補強)

平成30年度 補修・耐震補強工事(橋面防水、主桁断面修復、床版断面修復、地覆・防護柵取替、橋脚耐震補強、落橋防止構造)

平成31年度 平成30年に工事を施工した第1径間から第3径間で舗装のひび割れや隆起が発生

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令和元年度 恵庭跨線橋補修設計に係る既設構造物詳細調査解析委託業務(1~3径間)

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恵庭跨線橋で発生した変状の原因を特定することを目的に第三者委員会(恵庭跨線橋変状原因特別調査委員会)を設置
    令和元年12月  第1回 恵庭跨線橋変状原因特別調査委員会
    令和 2 年 3 月  第2回 恵庭跨線橋変状原因特別調査委員会
    令和 2 年 5 月  恵庭市長へ委員会における検討結果を報告

【委員会報告の概要】
■これまでの補修設計や工事の施工は一般的な方法や手順に従い実施されていた。
■早期に生じた再劣化は、アルカリ骨材反応と凍害の複合により主桁内部に想定を上回る損傷が生じていたことに起因した事象である。
■対策工法については更新案、補強案および補修案の3案を比較検討し、更新案が最適である。
■ただし、第1径間から第3径間で発生した変状が建設時に使用した骨材の性質と凍害によるものが原因とした場合、第4径間から第11径間においても同様に耐荷性能や耐久性能が低下している恐れがあることから、詳細な調査を実施する必要がある。

令和2年度 恵庭跨線橋補修設計に係る既設構造物詳細調査解析委託業務(4~11径間)

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恵庭跨線橋変状原因特別調査委員会からの検討結果報告を受け、第4径間から第11径間までの詳細な調査を実施。

令和3年度

令和2年度に実施した恵庭跨線橋補修設計に係る既設構造物詳細調査解析委託業務(4~11径間)の調査結果を踏まえ、恵庭跨線橋の今後の維持管理計画策定に向けた方向性を示すことを目的に第三者委員会(恵庭跨線橋維持管理計画検討委員会)を設置
    令和 3 年 7 月  第1回 恵庭跨線橋維持管理計画検討委員会
    令和 3 年 9 月  第2回 恵庭跨線橋維持管理計画検討委員会
    令和 3 年12月  恵庭市長へ委員会における検討結果を報告

【委員会報告の概要】
(1)現有・将来性能(pc中空床版)
    1)性能の照査結果(主桁の破壊に対する安全性)
        現有性能:第1径間~第3径間、第6径間~第8径間、第9径間~第11径間は、いずれも現状では破壊に
                          対する安全性を満足する。
        将来性能:第1径間~第3径間においては、主桁上面全体のコンクリートの脆弱化やPC鋼材の
                          腐食による破断を防げた場合には40年程度、破壊に対する耐荷力を保持できる。
    2)性能の低下を抑制するための対応
          第1径間~第3径間では橋面からの水の浸透が見られることから、性能の低下を抑えるために
      主桁上面からの水の供給を遮断する対策(防水)が必要である。

(2)現有・将来性能(プレビーム桁RC床版)
    1)性能の照査結果(RC床版の疲労破壊に対する安全性)
        現有性能:上面コンクリートの脆弱化によって耐荷力はすでに大きく低下しているが、
                          通常の使用時の性能は確保されている。
        将来性能:現状の耐荷力を維持できるのは、床版上面から水の供給が続く場合で2年半前後、
                          乾燥状態を保持できた場合で25年前後の見込みとなる。
    2)性能の低下を抑制するための対応
        床版上面に滞水が見られることから、疲労耐久性の低下を抑えるために水の供給を遮断する
    対策(防水)が必要である。

(3)各径間ごとの個別最適な対策
 ■中空床版(第1径間~第3径間)は無対策の場合、早ければ10年程度でPC鋼材破断による破壊に至る可能性があるため、劣化因子(雨水など)の浸入を抑制する対策が必要である。

⇒対策として「橋面防水」を行う。対策により寿命は40年程度以上に延びる。

■プレビーム桁(第4径間、第5径間:跨線部)は、床版への劣化因子(雨水など)の供給を遮断しても25年程度で破壊に至る可能性があるため、更新または補強の対策が必要となる。

⇒補強案は床版の打ち替えとなるが、経済的に割高であるととともに、コンクリート片の剥落のリスクが残存、JRの建築限界の制約下での施工性が非常に劣るため、総合評価から「更新」を採用する。

■中空床版(第6径間~第8径間、第9径間~第11径間)は、無対策で供用し続けた場合でも40年程度は破壊の恐れはないが、耐荷性は低下しているため、劣化因子(雨水など)の浸入を抑制する対策を行うのが望ましい。

⇒対策として「橋面防水」を行う。

(4)橋梁全体を見据えた対策
■第1径間~第11径間の全体で考えると、跨線部のプレビーム桁(第4径間、第5径間)から寿命が決まることが判明した。
■これは側径間(第1径間~第3径間、第6径間~第11径間)は40年程度以上の寿命であるが、プレビーム桁(第4径間、第5径間)は25年程度の寿命しかなく、プレビーム桁を更新する際に側径間も同時に更新する必要があるためである。
■同時に更新が必要となる理由は、千歳線が架橋後に電化され建築限界が変更(増加)となったため、跨線部を更新する際は電化の建築限界をクリアする必要があり、そのため桁下高を現状より1.3m程度上げることになる。この施工基面高の変更に伴い、跨線部の前後の径間も含めた全体を更新する必要が生じる。
■したがって、プレビーム桁の更新の際にすべての上部工を更新する。プレビーム桁の更新までは、PC中空床版を主桁上面の防水により維持する。

2.今後の対応

(1)当面の対応
恵庭跨線橋維持管理計画検討委員会報告において、「橋面からの水の供給が続いた場合には、プレビーム桁(第4径間、第5径間)のRC床版の疲労破壊や、起点方の中空床版(第1径間~第3径間)のPC鋼材の破断による破壊が懸念されることから、早期に、劣化因子(雨水など)の浸入を抑制する対策が必要である。」との指摘があることから、橋面の防水による性能低下抑制対策の早期実施が必要であると判断された1~5径間の橋面防水を早急に実施します。

(2)将来的な対応
恵庭跨線橋の寿命は、跨線部のプレビーム桁の寿命で決まります。(1)当面の対応で示した橋面防水を施したとしても、プレビーム桁の寿命は25年程度であることから、橋梁長寿命化修繕計画に基づく定期点検により劣化の進行状況を定期的に把握しつつ、概ね20年後の令和25年度(2043年度)を目途に、全径間(第1径間~第11径間)の上部工架け替えに向けた準備を進める必要があります。
なお、恵庭跨線橋維持管理計画検討委員会報告を参考に「更新(上部工の架け替え)」を基本としますが、今後の道路ネットワークの変化や技術革新なども考慮して再度検討を要します。

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